2【演説全文】茂木敏充氏 自民党総裁選挙2025

茂木敏充です。今、自民党は結党以来、最大の危機にあります。昨年10月の衆院選で敗れ、都議選、参議院選と敗北をした。その責任の一端は、昨年の秋まで党執行部として党の中枢を担ってきた自分にもあると重く受け止めています。その上で自民党、会社で言えば業績が急速に悪化し、倒産寸前の危機にある。そんな今だからこそ、再び立ち上がる決断をしました。これまで党や政府でさまざまな経験をさせていただいた、「私の全てをこの国にささげたい」。そんな思いで立ち上がります。

「自民党を、日本経済を必ず再生する」。その目標は2年、そしてしっかりとバトンを次の世代に引き継ぐ道筋をつくってまいります。誰が次の総理・総裁になったとしても、この逆境から立ち直っていくのは極めて難しいことだと、そう考えています。ですから私は組織の上に立つのではなくて、逆風の中で先頭に立って、その逆風を受け止め、日本を前に進めたいと、そのように考えています。自民党の強みは人材力です。私を総理・総裁にしていただければ、まずは挙党態勢を築く。1つの自民党、地方組織も含めて、そういった1つの自民党をつくっていく。その挙党態勢のもとで思い切った人材の登用、さらに実行力で結果が出せるベストチームをつくっていきます。自民党には次の時代を担う多くの中堅・若手人材がいます。こういった若手や女性を思い切って登用してまいります。閣僚の平均年齢は10歳若返らせます。3割は女性を登用します。

私が目指すのは政権の安定です。まさに厳しい外交交渉のような高度な交渉力によって基本政策、外交・安全保障、エネルギー、そして憲法、こういった政策が一致する政党と連立の枠組みを広げる。このことを追求し、政権基盤を固めていきたいと考えています。

私の強みは経済と外交です。まず経済。増税ゼロの政策推進、この方針は堅持をいたします。その上でまずは何にしても物価高対策です。地方が地域ごとの課題・ニーズに応じて自由に使える、これまでとは1桁異なる「生活支援特別地方交付金」、これを創設をし、地方のニーズに応じてしっかりと活用してもらいたいと思っております。さらに国や地方自治体が発注をする、さまざまな事業、さらには看護師さん、保育士さん、この公定価格、こういったものも全て物価連動型にしていきます。いま国は民間企業に賃上げをお願いをしております。だったらば国が決められる賃金については引き上げていく、このことは当たり前のことだと、こんなふうに考えています。

次に投資の拡大です。個人の金融資産や企業の内部留保、これを貯蓄から投資に思い切って振り向ける。このために減価償却については、ハードもソフトも全て「即時一括償却」を認める。これによって、すでに110兆円になっている企業の設備投資意欲をさらに高めてまいりたいと考えています。成長分野への投資が拡大をする、それによって経済が成長し、企業の収益が上がれば、継続的な賃上げ、これが可能になっていきます。「確かに賃金が上がってきたな」、「所得が増えてきたな」、そう実感していただければ、消費も拡大します。それによって市場が大きくなる。大きくなった市場、新しい事業にまた投資が呼び込まれる。こういった投資を起点とした経済の好循環、これをしっかりと回していきたいと考えております。

そして東京一極集中の是正と地方の成長力アップです。そのためにAI、半導体、データセンター、グリーン関連事業、成長分野の地方への立地、これを支援します。同時に研究機関や教育機関についても、その近隣に立地をすることによって、その支援策をとることによって、地方への集積、拠点化を進めてまいりたい、こんなふうに考えています。
同時に安定して稼げる農業、さらに私も中山間地域で生まれました。中山間地域でも営農ができるような、続けられるような支援策、これをとってまいりたいと考えております。

私が提唱する成長戦略、これを実現すれば確実に年収は上がっていきます。1年で3.5%、つまり3年で1割、給料が上がる、賃金が上がる、50万円平均年収が上がり、500万円を超える、こういう状況を1日も早く、つくってまいりたいと考えています。

最後に外交・安全保障です。経済で失敗すれば、政権が倒れ、外交で失敗すれば国が傾く。国際社会の分断、ウクライナ、ガザをはじめ、各地で紛争が激化をする。そしてグローバルサウスが台頭する。極めて複雑で不透明な国際情勢の中で、私は日米貿易交渉でトランプ大統領から「茂木はタフなやつだ」と、そう言われながら交渉をまとめた実績、そして外務大臣としての経験、これを活用して力強くしたたかな外交を展開してまいります。安全保障環境も急速に厳しさを増しています。中国、北朝鮮の脅威、これは大きくなっています。サイバー空間、宇宙、さまざま対応すべき分野も増えております。それも含めて防衛力をさらに高める、こういった取り組みを進めてまいりたいと考えております。

さらに法治国家として、国民の安心・安全を守る観点から、違法外国人ゼロを目指して、法令順守の徹底、そしてルールが守れない外国人については、厳しい対応をとってまいりたいと考えております。また外国人や外国資本による土地の買収、これが大きな不安、地域の懸念となっています。この土地の買収やそういった取得について、しっかりと一元的に管理をし、透明化を高め、不当な問題については厳しく対処する、こういった姿勢をとってまいりたいと考えています。

以上、総裁選に立候補するにあたっての私の思い、そして基本政策についてお話をさせていただきました。結果を出す、逆境を乗り越える、厳しい使命、これを私に担わせていただき、次の世代に、次の時代にバトンを渡していきたい、そう考えています。誰もが日本に生まれてよかった、自信と誇りを持てる国、子どもたちが未来は明るい、そう思える国をつくっていきたいと思っております。皆さんと力を合わせて自民党の再生、日本の再生に取り組んでまいりましょう。どうぞよろしくお願いいたします。

知識を蓄えるには読書が一番