【書評-45】 どん底目線で生きるを経験
「どん底目線」で生きる 良寛詩歌集
中野東禅
駒澤大学仏教学部禅学科卒業、同大学院修士課程修了。
京都市・龍宝寺前住職、曹洞宗総合研究センター
教化研修部門元講師。
生涯自分の寺を持つことなく、
乞食僧として自由な生き方をした新潟県三島郡出身の
良寛の魅力を解説する本。
批判眼と許しの眼のどん底目線
500首の漢詩と1,400首の和歌を通じた徹底的な言語化。
求道者としての良寛の最新世界や思想を学ぶ。
【心に響いた教え】
誰とも比べずに自分自身を拠り所として生きる、なぜもっと頑張れないのかと自分自身を責めないこと。だから心穏やかに暮らせる。
無邪気に遊ぶ、自然の美しさに感動する。弱い立場の人達の対して憐れみ、許しの感情を持ち接する。
自然は自分を見る・自分の内面の心と対峙する装置。共感・愚痴・悟りの三つ揃った説法。
老いや病、死、災害から人間は逃げようがありません。現実から目を逸らさずに、そこに肚を据えて、とにかく今を精一杯大切に生きていくしかない。
今・ここで・自己が愚かさやこだわりから脱落して、せいせいと生きる。賢い人は物事の本質を見、ゆったりと生きていく。
良寛さんの言語化により、禅の心が庶民の心を
癒したことを想像しながら読み耽りました。