【書評-87】 はじめての大拙
大熊玄
インド哲学、仏教学、西田哲学、鈴木禅学。
はじめて鈴木大拙に触れる人のために
大拙の言葉をまとめたもの。
【心に響いた教え】
人生はそのままで満ち足りている。ただ、自らの普通を生きていく。あらゆる因縁の中に無心に生きのびていく。発見されようとされまいと、そこに在る。
みな与えられたものを受け入れるだけ。自然は善悪の区別、選択をしない。何事も調和で諧(やわらぎ)。
目標とめくじらを立てずに人生そのものを楽しみ、ゆっくりと美しく生きる。
ゆとりを持つ、テンション(緊張)がなくなりゆっくりすること。
人間はただの機械・物にはなれない。人間の創造性、潤い、柔らかさ、味、余裕が必要。愛は力を超越する。
言葉が事実と附合しなくなった時、それは言葉を捨てて事実に帰る時である。
苦しむほどに、人格は深まり、人生を味わえる。あきらめない、やり尽くす、苦しみのなかへ入る。
なんでもない仕事、それが最も大切。ただ日々の仕事をやる。こうすべきだと思うことを努力するよりしかたない。
世界人としての日本人。
禅は何にも拘らない。平凡で平穏で溌溂として生きている。終始一貫した自分自身の訓練と経験。