【書評-65】 道元の読み方
道元の読み方 今を生き切る哲学「正法眼蔵」
栗田勇
フランス文学者、作家。
仏教、寺院建築、美術等に関する日本文化論の著書。
人間の人生はもともと恐れや苦悩に満ちたもの。
悩めばいい、我執をすてよ、己のこだわりを捨てろ。
皆いやしに飢えている。
実生活を生き抜いていく知恵が詰まった正法眼蔵を解説。
【心に響いた教え】
大地雪漫漫 北陸の原野も山も空も雪だけになる白一色の世界。自分の体は透明に無限に広がり宇宙と等しくなる。
その時々に全力を尽くす。知識や理解を超えたところで信じるか否かをおのおのが自分の人生を賭けて考える。
身心脱落 こだわりのもととなる自意識を捨てて、無我の境地になれ。いまはいま、それがすべて。
前後裁断 それぞれに前後はあるがそれで完結して切れている。比べたり、惜しんだり、望んだり、悲しんだりすることは意味がない。
自分の生命が自然の生命の本質と一致し一体化する、これだという瞬間。自分を捨てきる。
ひとつにこだわらない、とどまらない、軽いフットワークで動きながら打撃を加える=最大の防御。生也全機元。
自分がいくらかじを取っていると言っても、しょせんは人生という舟に乗せられているにすぎない。
知識の体験化とは生きてゆくための経験。真の坐禅は何かを期待してするものではない。人生に雑用はない。
悪いことをせず、生きている時は生きている
死んでいる時は死んでいる それぞれを徹底する
皆のために慈悲心を持ち、秩序と調和を保ち
万事にわたって、これが嫌だとか
あれが欲しいとかいうこともなく
心で執着することもなく
先回りして妄想で心配することもせず
ごく普通のありのままの姿